子育てしながら現場で薬剤師として以前のように働ける?
育休が明けるけどブランクもあるし、薬の知識は抜け落ちてない?
「新しい薬の用法とか覚え直さなきゃ…」
「子供が急に熱を出して休むことになったりして職場に迷惑かけないだろうか」
ママになると職場復帰する際、今までは考えもしなかったたくさんの不安が出てきますよね。不安を解消するためにママ薬剤師さんたちにはどんな働き方があるのかを知っておけば、育児と仕事の両立への糸口が見出せるかもしれません。
結論、子育てと仕事の両立をするためには、自分にとって最適な子育てと仕事のバランスを見つけることが重要です。その結果、ママ薬剤師は最強の働き方を見つけられるでしょう。
筆者も実際に産休育休からの復職を経験しています。2年8ヶ月という長い休職からあける際、本当に仕事ができるのだろうか?と、とても不安で緊張した記憶があります。結果的に、筆者は子育てと仕事のバランスを重視し、正社員から派遣社員へと転職する結果となりました。
この記事ではママ薬剤師が子育てと仕事を両立させるために必要な事項や雇用形態など、具体的に解説します。子育てと仕事の割合が最適化されるとライフワークバランスも整い、より理想の生活に近づけます。
ぜひ最後までチェックしてみてくださいね
ママ薬剤師は子育てと仕事の割合を最適化しよう
ママ薬剤師が子育てと仕事を両立させるためには、子育てする割合と仕事をする割合を自分の中で最適化しておくことが必要です。『最適化』とは自分の許容範囲や家族の許容範囲を認識し、無理しすぎない子育てと無理しすぎない仕事の割合を見つけることです。
内閣府の統計では、妊娠・出産を機に7割が退職するとの報告があります。
このご時世でもまだまだ女性の立場は弱い!
また、退職理由の3割が『子育てと仕事の割合の最適化が難しい』ことを理由としています。(参考: 2 働き方をめぐる問題点: 子ども・子育て本部 – 内閣府 )
それだけ子育てと仕事の両立は困難なため、職場復帰前に次の3点を確認しておきましょう。
- 子どもの預け先の確保
- 職場の育児制度の確認
- 家庭内の意識のすり合わせ
どれも大切な確認事項なので、それぞれ詳しく解説していきます。
1,子どもの預け先を確保する
働く親として、子どもの預け先を確保するのは必須事項です。自治体や親族に相談し、最適な選択をするよう心がけましょう。
一般的に考えられる子どもの預け先は3種類あります。
- 自宅近くの保育園
- 職場近くの保育園
- 親族に預ける
それぞれ、メリットとデメリットがあります。以下の表に簡単にまとめてみました。
メリット | デメリット | |
自宅近くの保育園 | 時間的負担軽減 | 仕事が休みの日コソコソしなければならない |
職場近くの保育園 | 急な呼び出しに対応できる | 通勤・交通費負担増 |
親族に預ける | 時間・金銭的負担が少ない | 親族の都合で預けられない場合がある |
子育てと仕事を両立するためには、子どもをどこに預けると良いのか、悩ましい問題ですよね。もちろん待機児童の問題もあるため、理想通りに行くとは限りません。
3種類の預け先の中で一番おすすめの預け先は『自宅に近い保育園』です。送迎の手間が減り、時間的な負担が軽減されるので便利です。
保育園の方針にもよりますが、筆者が通わせていた保育園では、仕事が休みの日は保育もお休みするように言われていました。それでも「育児も仕事もお休みが欲しい!」という時はこっそり保育園にお願いする日もありました。デメリットをあげるのであれば、休みの日に預ける場合、コソコソしなければならない点くらいでしょうか。
仕事が休みの日でも罪悪感なく預けられるようになるといいなぁ
一方、職場に近い場所に預ける場合は、子どもの急なお迎えが必要になった際、すぐにでも駆けつけられるメリットがあります。デメリットは、通勤の手間や交通費負担です。
また親族に預ける場合は、一般的に時間・金銭的負担が少ないメリットがあります。デメリットは親族の都合により、保育ができない場合が発生することです。例えば、保育してくれていた実母が急に入院することになってしまった場合、保育先を探さなければなりません。急な事態にも事前に確認しておくことが必要です。
実際に友人の母が急に倒れてしまって子どもの預け先に困っていました…
どこに預ける場合でも、預ける時間や引き取る時間を確認することも重要です。保育園の場合は、お迎えに遅刻すると延長料金がかかる場合があるため、注意しましょう。
2,職場の育児制度を確認する
育児と仕事の両立にあたって、職場の協力は不可欠です。自分の職場の育児の制度を確認しておきましょう。特に確認すべき事項は以下の2つです。
- 育児短時間勤務制度
- 企業主導型保育所の有無
育児短時間勤務制度とはいわゆる時短のことで、一般的には子どもが小学校に入学するまで、規定の時間を減らした労働時間で働ける制度です。通常、1日の労働時間を2時間短縮することができますが、企業によってはさらに短縮することが可能だったり、中学校に入学するまで時短を利用できたりする場合もあります。
企業主導型保育所は優先的に入れる保育所です。しかし、一般的には入園児童数は決まっているため、全く空きがないタイミングになってしまうことも。復職を決めたらすぐに空きの確認をすることをおすすめします。
3,家庭内の意識のすり合わせ
実際に復職した筆者が感じた大事な確認事項のうち、家庭内の意識のすり合わせは、復職前に行うべき一番重要な事項です。
例えば、以下のようなすり合わせが必要です。
- 子供を送るのはどっち?
- 子供を迎えに行くのはどっち?
- どちらかが仕事が休みの日はどうする?
- 子どもが発熱したらどうする?
- 子どもの看病で休まなければならないときはどっちが先に休む?
子育ては予測不能な事態がよく起こります。家族の協力やベビーシッターの利用など、利用可能なリソースをリスト化し、柔軟に対処していくことが大切です。
子育てと仕事の両立ができるオススメの雇用形態は?
もともと正社員として勤めていた方でも、出産を機に雇用形態自体を考え直す場合があります。一般的に薬剤師の雇用形態は以下の3種類があります。
- 正社員
- パート
- 派遣社員
筆者のおすすめの雇用形態は派遣社員です。理由は、筆者が現在実際に派遣社員として働くうえで、デメリットを感じないためです。しかし、家庭環境や個人の考え方によって、パートや正社員の方が合っている方もいます。
結論、どの雇用形態でも選べる薬剤師は最強!といえます。
それぞれの特徴を確認してみましょう。
正社員は収入が期待できるものの自由な時間が少なく、パートは収入が少ない一方で自由な時間を多く確保できます。派遣社員はそれぞれの中間です。
雇用形態 | 収入 | 自由な時間 |
正社員 | 高 | 少 |
派遣社員 | 中 | 中 |
パート | 低 | 多 |
自分の理想の働き方に近い雇用形態を選びましょう。
- パートの収入より稼ぎたいのであれば派遣社員になる。
- ゆくゆくはガッツリ働きたいので時短勤務として正社員を継続する。
- 育児に時間を取りたいから、正社員からパート雇用になり労働時間を減らす。
など、自由な働き方を選べるのは、薬剤師の特権と言えるでしょう。
薬局でも病院でも選べるのもありがたい!
以下では具体的なメリットデメリットを解説します。
派遣社員は子育てと仕事の両立にオススメ!
筆者が一番おすすめしたいのは、派遣社員です。
正社員以上に時間の融通がきき、パートより収入が高いため子育て世代に最適な雇用形態でしょう。筆者自身も現在は派遣社員として週3日働いています。
派遣社員とは、派遣会社に雇用された状態で人手が欲しい薬局・病院などの医療機関へ期間付きで労働を提供する働き方です。雇用先は派遣元の会社となります。
給与は一般的に時給換算で計算され、交通費も支給されます。健康保険や雇用保険などの福利厚生も派遣元の会社から受けられ、一定期間の勤務することで有給も発生するため、子供の急な発熱などにも有休消化で対応できます。
派遣社員のメリットとデメリットは以下のものがあげられます。
派遣社員は派遣会社の契約書によって時間の自由度が限られるものから、高めのものまで幅広くあります。代わりに同じ職場で働き続けるという安定性は低いため注意しましょう。
自分の希望を派遣元会社にしっかり伝えておくことが大切!
正社員なら時短勤務がオススメ!
もし同じ会社に勤め続けたいのであれば正社員のまま時短勤務するのもオススメです。
時短正社員のメリットとデメリットは以下のものがあげられます。
時短勤務している育児中のママさんパパさんが多い職場では、子どもの急な発熱などにも理解が得やすい傾向にあります。困った時はお互い様として、協力してくれる職場だといいですね。
休職前の慣れた職場に戻れるのは安心材料の一つです!
パートなら職場を限定しよう!
パート雇用の薬剤師は、時間帯や曜日指定された労働環境で働けます。
正社員とは違い、管理薬剤師などの責任者にもならないため子育てにウエイトを置いて働くことが可能となります。
パートのメリットとデメリットは以下です。
自宅近くの職場で子どもが自立するまで働き続けるママさん薬剤師もよく耳にします。
一般的にクリニックの門前薬局では残業が発生しやすいと言われています。総合病院門前薬局などの土日休みが確定している薬局に限定して勤めると、より子育てに集中することができるでしょう。
総合病院の門前薬局のパートさんは子育て中の方も多い!
結論、子育てと仕事の両立がしやすいママ薬剤師は最強!
ここまで、子育てと仕事のバランスが整う方法と、オススメの雇用形態について解説しました。
ママ薬剤師が子育てと仕事のバランスを整えるにあたって、大切なのは子育てと仕事のバランスを『最適化』することです。
『最適化』するために復職前に確認しておくべき事項は3つあります。
- 子どもの預け先の確保
- 職場の育児制度の確認
- 家庭内の意識のすり合わせ
上記3つの確認をしっかり行ったうえで、職場復帰しましょう。
薬剤師が子育てと仕事の両立ができるオススメの雇用形態は派遣社員です。働く場所に重点をおくのであればパートも良い選択肢です。いずれは仕事に戻ってバリバリ働きたいのであれば、正社員のまま時短勤務を選択するのも良いでしょう。どれも一長一短はありますが、子育てと仕事の両立方法としてどの手段を選ぶのか、家族内でよく話し合って選択することが大切です。
- 正社員、派遣社員、パートのいずれであっても復職は容易な場合が多い
- ブランクがあっても国家資格免許があれば薬剤師として復帰可能
- 薬剤師としての時給は一般的な職種よりも高い場合が多い
上記の理由から、子育てと仕事の両立ができるママ薬剤師は最強と言われます。
筆者自身も、復職時は正社員でしたが、子育てとの両立を考えて派遣社員に転職しました。現在は派遣社員として調剤薬局で週3日働いています。復職後、実際に働いてみて「子育てとの両立が難しい…」と感じる場合は転職も検討すると良いですね。
共働きが当たり前になった現代では薬剤師国家資格は大変有利な資格です。うまく活用して理想の生活へ近づけましょう。
せっかくの薬剤師免許、うまく使っていきましょう!
現役ママ薬剤師によるQ&A
ここからは、筆者が現役ママ薬剤師として働くなかで、疑問に思ったことやよく質問される内容をピックアップして回答します。
Q.扶養内で働きながら保育園に預けることは可能か?
A.現実的にはほぼ不可能です。
扶養内を検討する条件はパート薬剤師の選択をした場合です。
所得税上の扶養内を意味する103万円の壁を超えないように働く場合、月額8万8000円以下でなければなりません。薬剤師のパート時給からすると現実的には不可能な場合が多いと考えられます。
Q.休職中に取り組んでおくと良いことは何か?
A.結論、薬学知識を維持したいならば日経DIオンラインなどの医療系サイトを読んでおくと良いでしょう。
ただし、現場で働くよりはインプット量が減るため、復職後に挽回するのでも問題ないです。せっかく育児のためのお休みをいただいているので、子どもとの時間を大切にするのも良いかもしれませんね。
Q.転職活動するときは何を重視しましたか?
A.育児をきっかけに転職活動をした筆者が重視した転職時の条件は以下です。
- 希望する時間帯に確実に上がれること
- 希望する日付に必ず休めること
子どもとの時間を大切にするために、時間的な制約が少ない状況を最優先しました。結果として、自宅から少し遠い薬局でも、就業時間が早ければ自宅へ帰る時間が早くなることがあります。
ぜひ時間的制約が少ない転職先を見つけて、子どもとの時間を取れるようにしましょう。
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