派遣薬剤師は投薬ばかりと言うわけでもない?
派遣薬剤師をやりたいけど、薬の場所もわからないから投薬ばっかりやらされる。そんなイメージをお持ちですか?
派遣は投薬ばかりと聞いたけど本当?
わからない薬とかあったらどうするの?
単発派遣は投薬が多いよ!
わからない薬はその場で調べる!
今回は派遣薬剤師のリアルな体験談をお伝えします。実際に働いてみて、普通の社員薬剤師さんと変わらないことの方が多い印象です。薬局で働いたことがある方なら、派遣薬剤師もできるかも?
派遣薬剤師は投薬がメインになりがち
派遣薬剤師は投薬がメインになりがちです。その理由は以下の3つです。
- 薬の場所がわからないから薬を拾うのに時間がかかる
- 投薬なら用意された薬と薬歴を見れば投薬できるから
- 患者対応が問題なくできる人が多いから
派遣薬剤師は、期間限定で薬局へ派遣されます。そのため、薬の在庫や不足薬があった時の対応を把握していないと初めからは対応できないケースがほとんどです。投薬であれば、処方された薬と薬歴を見ることで患者さんにお薬をお渡しすることは可能です。よって、一般的には派遣薬剤師は投薬がメインになりがちとなっています。
派遣薬剤師でも不足薬の発注も任せられることも
2023年現在、薬の流通が滞っている関係で、薬が不足してしまう事態もよく起こります。その際は派遣先の社員さんが薬の発注をしてくれることがほとんどです。しかし、薬局によってはその手すら不足することもあり「足りない分は勝手に発注して構わない」と言われたケースもあります。
派遣薬剤師が薬を発注する場合、以下を把握してから発注しましょう。
- 帳合い(発注先)
- 発注する商品名、メーカー、規格
- 発注数
- 発注日、入庫日
間違えて発注してしまった場合、返品処理の仕事を増やしてしまったり、最悪の場合、患者さんへの薬の供給が間に合わなくなってしまうケースも考えられます。発注の際は十分に注意しましょう。
また、ピッキング途中で在庫不足に気づいた際は、自ら患者さんのところに行って、足りない薬があるので対応に時間がかかる旨を伝えます。病院への疑義照会を薬剤師が行うのと同じように、自ら患者さんへ説明に行くこともあります。
派遣先が一人薬剤師なら処方箋入力も行う
根本的に、派遣先が一人薬剤師の場合は、すべてを一人で行わなければなりません。
発注管理ももちろんですが、処方箋入力から、調剤、監査、投薬、会計までがすべて一人です。これまでに経験した一人薬剤師の店舗では、朝少しだけ社員さんが同席し、大まかな流れを聞いたら、そのあとは一人薬剤師。昼頃に事務さんだけはいり、夕方は事務さんと入れ替えに社員さんがくるパターンがありました。
一般的には一人薬剤師の場合は、調剤監査システムなどが充実しており、自分一人だけでも第3の目があるように整備されています。もちろん、調剤室内に防犯カメラも設置されていましたので、他社の派遣が一人で入っても大丈夫というわけです。
なお、絶対に一人薬剤師をしたくないのであれば、派遣先のエージェントさんに伝えておくことで、一人薬剤師の選択肢は無くなります。辺鄙な地域でなければ、一人で行うことは少ないと思っていて間違いないでしょう。
派遣薬剤師のメリット
派遣薬剤師ってなんでもやらされるの?責任は誰が取るの?と不安な方もいらっしゃるかと思います。では、派遣薬剤師で働く時のメリットとは一体なんでしょう?派遣薬剤師として働く私が実際に思うメリットは以下の3つです。
働く場所を選べる
1つ目のメリットは、働く薬局を選べることです。具体的に、私が薬局を選ぶ際に重要視している点は以下です。
- 自宅からの距離がどのくらいあるか
- 時給はどのくらいもらえるか
- 交通費は出してもらえるか
- 働く日数、曜日、時間の確認
自宅からの距離は働く上では大変重要です。一般的には自宅から近い勤務先の方が通勤時間を削減でき、コストパフォーマンスも良いでしょう。私の場合ですが、自宅から1時間圏内で探してもらうようにお願いしています。車通勤の場合、渋滞も考慮して決めることに気をつけてください。朝の時間帯は渋滞しやすい道路を使用しなければならない場合は、自宅から30分の薬局でも実際には1時間以上かかる場合があります。
働き方を調整できる
派遣薬剤師の場合、働き方は調整することができます。私の場合は、現在週3日、月80時間前後の働き方をさせてもらっています。実際には、あまり週3日の募集は存在せず、週4〜5日の募集が多い傾向です。もし自分が融通を利かせたいのであれば相手の要求も飲み込むようにしましょう。
例えば、派遣先の薬局が週5日出勤で、そのうち確実に土曜日に出勤できる薬剤師を時給3300円求めていたとします。この時の、自分の要求は週3日出勤、時給3000円以上です。ここで、相手方との交渉をエージェントさんにお願いします。
派遣エージェントと、派遣先薬局さんの間で話し合いが行われ、結果的に以下で交渉が完了しました。
- 週3日勤務
- 時給3000円
- 土曜日必ず出勤
- 18時半退社
お互いの要求の間をとった形で纏まりました。
また、この際注意するべき点は、自分より良い案件の人材が来ればすぐに契約は切られるということです。派遣薬剤師は時給が高い、自由度が高い代わりに安定はありません。自分がほしい求人が全くない時期やタイミングもあるというとは認識しておきましょう。
実は福利厚生がしっかりしている
以外にも、派遣薬剤師は福利厚生がしっかりしているってご存知でしたか?
派遣薬剤師は、派遣元会社の会社員として他の薬局に出向しているようなイメージです。ですので、一定の就労条件を満たすことで、派遣元会社の保険証がもらえたり、雇用保険にも入れます。派遣元会社によってはボーナスもあり、一般的な会社員とあまり変わらない待遇を受けられることも知っておくと良いでしょう。
私は先日、派遣元会社の健康診断で胃カメラの検査を受けてきたよ!
派遣薬剤師のデメリット
では派遣薬剤師のデメリットはどんなことがあるでしょう?具体的に以下で詳しく解説します。
契約期間があり正社員より不安定
派遣薬剤師は、契約期間があります。一般的には1〜6ヶ月以内で、その度に更新するかしないかの判断をすることになります。もし派遣薬剤師側が契約更新したくても、派遣先薬局が派遣を断ればその時点で、現在働いている薬局では働けなくなります。そういった点では、パートや正社員よりは安定していない働き方と言えるでしょう。
実際には、1ヶ月前に更新されないことがわかっても、次の派遣先をすでにエージェントさんが探してくれているケースがほとんどです。もし不安であれば、日頃からエージェントさんと連絡を密に取っておくことをおすすめします。
繁忙期と閑散期で求人数が違う
一般的に薬局は、冬が繁忙期、夏は閑散期です。春の花粉症シーズンが終わるとしばらくは派遣の求人も減る傾向にあります。そのため自分の求めるような派遣先が見つからないケースも考えられます。逆に繁忙期はどの薬局も人手不足になるケースが多く、より高い時給や、より自宅に近い薬局でも派遣先があるケースもあります。
常に派遣先にはどのような薬局があるのか、情報収集をしておくのもおすすめです。
派遣切りに合うこともある
2020年のコロナ禍で、薬局の患者数も全国的に減少しました。薬局自体に患者さんが来なければ、薬剤師数も余剰が生まれます。そのため、まず真っ先に契約を解除されるのが派遣薬剤師でした。一時期は派遣薬剤師の数がかなり減少したとされています。このような非常事態には派遣薬剤師はあまり強くないことは認識しておきましょう。
ちなみに、コロナ禍で私は正社員でしたが、会社は事実上の倒産をしてしまったため、他の会社に吸収合併されました。吸収合併された際、年収ベースがガクンと減ったり、休みが減らされてしまうという事態に陥り、事実上のクビになりました。確かに派遣薬剤師は不安定ですが、じゃあ正社員が絶対安心、安全、安泰なのか?と言われると、そんなこともないじゃないか。と身をもって体験しました。もちろん潰れるような会社にいたという点は否めませんが、あなたの勤める会社は本当に安定していますか?
派遣薬剤師のQ&A
派遣薬剤師は残業はあるのか
- 派遣薬剤師は残業はありますか?
-
一般的には残業はほぼありません。なぜなら時給が発生してしまうからです。
派遣薬剤師の時給は一般的には高額のため、時間ぴったりで帰らされることの方が多いです。どうしても人手が足りない時は残業をすることはあります。
- 残業は1分単位でつきますか?
-
派遣元会社によりますが、つくことの方が多いでしょう。
現在の労働基準法では1分単位でつけることが義務になっていたたため、一般的には1分単位のことがほとんどでしょう。
派遣薬剤師は薬歴はたまらないか
- 投薬ばかりで薬歴はたまりませんか?
-
薬歴を時間内に書き上げることも派遣薬剤師の仕事です。
これまで行ったことのある派遣先では基本的に薬歴が溜まったら薬歴を描く時間をくれました。
- 翌日に薬歴を回すことはありますか?
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どうしても書ききれない場合は翌日に回したこともあります。
ただし契約終了日は絶対に残せないので、これまでの契約期間まで書き残しがないか振り返りが必要です。
難しい投薬に当たってしまったらどうしたらいいのか
- 知らない薬があったらどうしているのですか?
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その場で調べて投薬するか、どうしても分からなければ薬局の方に聞きます。
分からないものを分からないままにしておくことはとても危ないので、必要によっては派遣先の薬局にきちんと聞くことも派遣薬剤師をする上で大切な姿勢です。その際は、2回は同じことを聞かないようにしています。
- 自分では対処しきれない場合どうしたらいいですか?
-
その場の責任者の方にすぐに報告します。
報告、連絡、相談はとっても大切なコミュニケーションです。困ったことがあれば責任者に聞きましょう。
派遣薬剤師体験談まとめ
派遣薬剤師のリアルな体験談について解説してみました。
これは私自身がリアルに思う体験談や経験談なので、他の派遣薬剤師の方の意見もぜひ聞いてみてください。
派遣薬剤師は投薬ばかりになりがちではありますが、さまざまな方や処方内容が見れるので日々とても勉強になっています。分からないことはすぐに調べる癖もつきますし、自分の知識もどんどんアップデートされます。それでいて時給も高いので、個人的にはとてもおすすめな働き方の1つです。
ここだけの話ですが、派遣元エージェントさんによっては、イマイチなところも派遣仲間から耳にすることがあります。自分に合ったエージェントさんを見つけることも、より良い派遣薬剤師ライフへの重要なステップです。是非、さまざまなエージェントさんからお話を聞いて「あ、この人は私のことをわかってくれているな」という直感の働く方にお願いしてみてくださいね。
みなさま良き派遣薬剤師ライフを〜🎵
私が答えられる範囲であれば相談に乗りますので
\お気軽にDMくださいね〜!/